最初のご相談
「運用にお金はかけられない。
でもリニューアルはしたい。」
エキスパートさまのご相談は、この一言から始まりました。リニューアル前のサイトからの問い合わせは、年間で実質ゼロ。公開後に広告を出したり、毎月SEOの運用費をかけたりする予定もありません。つまり、公開した時点で問い合わせが取れるサイトに仕上げきるしかない案件です。
リニューアル1年後の結果
公開から1年間(2025年7月〜2026年6月)の数字です。
| サイト訪問者 | 年間2,015人月平均 約170人/検索経由が約半分 |
|---|---|
| 問い合わせ | 実質0件 → 年間35件訪問およそ100回に1件 |
| 広告費・運用費 | 0円公開後の記事更新・広告出稿なし |
- サイト訪問者月 約170人
- 問い合わせ実質0 → 年35件
- 受注制作費を1年で回収
問い合わせは、公開の翌月から入り始めました。そこから受注が生まれ、リニューアルにかかった費用は1年で回収できています。
月170人というアクセス数は、企業サイトとしては多くありません。ドライバー派遣は、発注を考えている担当者しか検索しない分野です。加えて記事更新などの運用はしておらず、サイトの強さを表す指標(ドメインレーティング)も2と、かなり低い水準にあります。
それでも成果が出たのは、来ている人の多くが発注直前の見込み客で、その人たちをきちんと問い合わせにつなげられたからです。この事例で見てほしいのは、アクセスの量ではなく、問い合わせになる割合のほうです。
前提:SEOには「作る前のSEO」と「作った後のSEO」がある
SEOと聞くと、記事を書き続けたり、順位を毎月チェックしたりする運用を思い浮かべる方が多いと思います。ただ、SEOにはその前の段階があります。
作る前のSEO設計
制作のときに、一度だけ
- どの言葉で見つけてもらうかを決める
- サイトの構成とページの分け方を決める
- タイトル・説明文・見出しをつくり込む
公開後の費用:かからない
作った後のSEO運用
公開したあと、毎月
- 記事やページを追加していく
- 他サイトからのリンクを集める
- 順位を見ながら改善を続ける
公開後の費用:毎月かかる
作った後のSEOには、継続的な運用費がかかります。今回はそこにお金をかけられない前提だったので、制作時に一度やれば成果が続く「作る前のSEO」に絞って取り組みました。
制作背景と課題
エキスパートさまは、大阪で幼稚園・学習塾・スイミングスクール・病院・企業などに向けて、送迎バスのドライバーを派遣している会社です。以前のサイトは、サービスの信頼性は伝わるものの、他社との違いや会社の人柄までは伝えきれていませんでした。現場スタッフの細やかな気配りや親しみやすさを、問い合わせの前にどう伝えるかが課題でした。
そこで戦略設計の段階で、目指す姿をひとつの言葉に決めています。
目指す姿
大阪で親切・丁寧対応で、
送迎といえばエキスパート
想定した読み手:園児120名規模の幼稚園の園長先生など、送迎バスの管理を任されている責任者の方
安心して任せられる相手を探している人に、まじめさと親切さが「エキスパート級」だと伝わること。それをサイトのゴールにしました。
設計方針1:発注直前の人に「見つかる」構成にする
「バス 大阪」のような大きな言葉は大手がひしめいていて、検索する人の多くはまだお客さまではありません。狙ったのは、いままさに発注先を探している担当者が使う、もっと具体的な言葉です。
- ドライバー派遣会社 大阪3位
- マイクロバス 運転代行3位
- 送迎バス 企業9位
※Googleでの検索順位。2026年4〜7月時点
どれも月に数十回しか検索されない言葉ですが、検索するのは発注を考えている人です。そのうえで、幼稚園バス・スクールドライバー・マイクロバスの運転代行・習い事の送迎・企業送迎と、対応ケースごとにページを分けました。それぞれのページで構成・タイトル・説明文をつくり込み、探している内容にそのまま答えるページが検索結果に出るようにしています。
実際に受注につながった企業送迎の案件では、検索から「企業向け送迎ドライバー派遣」のページに直接たどり着き、平均52秒をかけて読んだうえで問い合わせをいただいています。トップページを経由せず、必要なページに一直線で届いた形です。
設計方針2:来た人を逃さないデザインにする
アクセスが少ない前提なら、来てくれた一人ひとりに確実に伝わるサイトにするしかありません。デザインのテーマは「シンプルさの中に遊び心、真面目さの中に温かみ」。親しみやすく、柔らかく、誠実な会社だと感じてもらえる見た目を目指しました。
- ビジュアル
- トップに「見ざる・聞かざる・言わざる」の縁起物を置き、目配り・気配り・心配りを、くすっと笑える形で表現
- コピー
- キャッチコピーは「この気配り、エキスパート。」。会話のような言葉で、安心感とプロの姿勢を同時に伝える
- レイアウト
- 下層ページは対応ケースをカード型で整理。発注前の不安を先に言葉にしてから、解決の流れを案内

- 検索から来た人の平均滞在時間105秒直接アクセスの約4倍
- 訪問に対する問い合わせ率約1.0%訪問およそ100回に1件
検索から来た人ほど、じっくり読んでくれています。問い合わせ率の約1.0%も、この種のサイトの目安とされる水準を確保できました。
エキスパートさまからは、相見積もりの相手先だった病院のご担当者に「ホームページ、いいですね」と直接言われた、というお話もうかがっています。比較検討の場面でも、サイトが後押しになっていたようです。
この事例から言えること
広告や記事更新でアクセスを増やす取り組みは、それ自体は間違いではありません。ただ、順番が逆になっていることがよくあります。
誰に見つけてもらい、来た人にどう動いてもらうか。そこが設計されていないサイトは、アクセスを増やしても問い合わせにつながりにくいままです。反対にそこさえ設計できていれば、運用費をかけなくても、月170人のアクセスでも、制作費を回収できるだけの受注は生まれます。
「運用までは手が回らない」という会社こそ、作る前の設計に時間をかける価値があります。