Webサイト制作では、デザインに入る前に「情報設計」という工程があります。情報設計とは、サイトに載せる内容を整理し、何を・どこで・どの順番で伝えるかを決める工程です。その情報設計を確認するために作成するものが、ワイヤーフレームです。
ワイヤーフレームという言葉は、普段あまり聞き慣れないかもしれません。簡単にいうと、Webサイトの「設計図」のようなものです。ただし、ここで大切なのは、ワイヤーフレームは完成デザインではないということです。
色や写真、余白、装飾、細かなレイアウトを決める前に、まずは「このページで何を伝えるべきか」「情報の順番は適切か」「必要な内容が入っているか」を確認するためのものです。
この記事では、ワイヤーフレームとは何か、なぜ必要なのか、そして確認する際にどのような視点で見るべきかをわかりやすく解説します。

※ワイヤーフレームの例
ワイヤーフレームは、家づくりでいう「間取り図」
ワイヤーフレームは、家づくりに例えると「間取り図」にあたります。家を建てるとき、いきなり壁紙や照明、家具を決めることはありません。まずは、玄関の位置、リビングの広さ、キッチンや収納の配置、生活動線などを整理します。その間取りが固まってから、内装や家具、照明、素材などを決めていきます。
Webサイトも同じです。まずワイヤーフレームで、ページの構成や情報の流れを確認します。そのうえで、デザイン工程に進み、色・写真・フォント・余白・装飾などを整えていきます。
ワイヤーフレームで確認するのは、構成・情報の順番・導線です。一方、デザイン工程で確認するのは、色・写真・フォント・余白・装飾などの見た目です。つまり、ワイヤーフレームは「見た目を完成させるためのもの」ではなく、サイトの中身と流れを整理するための設計図です。
ワイヤーフレームで決めていること

ワイヤーフレームはシンプルな見た目ですが、その中ではWebサイトの成果に関わる重要な判断が行われています。主に確認するのは、情報の優先順位、コンテンツの過不足、導線設計の3つです。
情報の優先順位
ページを開いて最初に何を伝えるのか。会社の強みなのか、商品やサービスの特徴なのか、実績なのか、問い合わせへの導線なのか。情報の順番によって、訪問者の理解や行動は大きく変わります。
コンテンツの過不足
伝えるべき情報が不足していないか。逆に、情報を詰め込みすぎて、本当に伝えたいことが埋もれていないか。Webサイトでは、情報量が多ければ良いというわけではありません。目的に対して必要な情報が、適切な順番で整理されていることが重要です。
導線設計
訪問者がどの情報を見て、どのページへ進み、最終的にお問い合わせや資料請求、購入などの行動にたどり着くのか。その流れに無理がないか、迷いやすい箇所がないかを確認します。
つまりワイヤーフレームは、見た目を作る前に、サイトの中身と流れを固めるための工程なのです。
原稿が入ったワイヤーフレームを見るときの注意点
Web制作の現場では、ワイヤーフレームの中に仮の文章や原稿が入った状態で確認を進めることがあります。このときに注意したいのが、ワイヤーフレーム上の枠や文章量を、完成時の制限として捉えすぎないことです。
例えば、ワイヤーフレーム上では小さな枠に短い文章が入っている場合があります。そのため、確認する側は「この枠の中に収めないといけないのだろうか」「もっと説明したいけれど、短くした方がいいのだろうか」「文章量を増やすとレイアウトが崩れるのではないか」と感じることがあります。
しかし、ワイヤーフレームの枠は、あくまで情報の位置や役割を示すための仮のものです。この段階で大切なのは、枠に文章が収まるかどうかではありません。伝えるべき内容が正しく入っているか、必要な情報が抜けていないか、情報の順番が適切かを確認することが本来の目的です。
「ここはもっと詳しく説明した方がよい」「この情報も必要だ」と感じる場合は、ワイヤーフレームの枠にとらわれず、その意図を制作会社や担当者に共有することが大切です。必要な情報であれば、デザイン工程で読みやすいレイアウトへ調整できます。
情報設計は固める。レイアウトはデザイン工程で磨く。
ワイヤーフレームで決めるのは、主に情報設計です。つまり、何を伝えるか、どの順番で伝えるか、どこへ誘導するかを整理する工程です。
一方で、実際のレイアウトや見せ方は、デザイン工程でより良く調整されることがあります。例えば、ワイヤーフレームでは横並びだった要素を、デザインでは縦並びにすることがあります。写真を大きく見せるために余白を変えることもあります。スマートフォンで読みやすいように、配置を組み替えることもあります。
これは、ワイヤーフレームを無視しているわけではありません。ワイヤーフレームで整理した情報設計をもとに、より伝わりやすく、見やすく、美しくするために調整しているということです。
そのため、ワイヤーフレームは「レイアウトの完成形」ではなく、デザインの土台となる情報設計図として見るのが適切です。
なぜモノクロで作られるのか
ワイヤーフレームは、多くの場合、白黒やグレーを中心にしたシンプルな見た目で作られます。これには明確な理由があります。
人は、色や写真、装飾が入ると、どうしても見た目の印象に意識が向きやすくなります。「この色は好きか」「この写真は良いか」「もっとおしゃれにしたい」といった話に意識が向き、本来確認すべき構成や情報の優先順位が後回しになりがちです。
そのためワイヤーフレームでは、あえて装飾を省き、内容・構成・導線に集中できる状態にしています。地味に見えるのは、手抜きではありません。むしろ、設計図としての役割を果たすための工夫です。
ワイヤーフレーム確認時のチェックポイント
ワイヤーフレームを確認するときは、次のような視点で見ると整理しやすくなります。
掲載すべき情報が入っているか
サービス内容、強み、実績、料金、よくある質問、会社情報など、必要な情報が抜けていないかを確認します。
もっと説明すべき箇所はないか
ワイヤーフレーム上の文章が短くても、実際にはもっと丁寧に説明した方がよい場合があります。特に、専門性の高いサービスや比較検討されやすい商品では、説明不足が機会損失につながることもあります。
不要な情報が入っていないか
情報が多すぎると、かえって伝えたいことがぼやけます。目的に対して不要な情報がないかも確認が必要です。
情報の順番は分かりやすいか
訪問者がページを上から読んだときに、自然に理解できる流れになっているかを確認します。最初に強みを伝えるべきか、先に課題提起をした方がよいか、実績や事例はどの位置で見せるべきか。こうした順番は、サイトの伝わり方に大きく影響します。
行動につながる導線になっているか
お問い合わせ、資料請求、予約、購入など、サイトの目的となる行動に自然につながる流れになっているかを確認します。
この段階で気にしすぎなくてよいこと
一方で、ワイヤーフレーム段階では、次のような点を細かく気にしすぎる必要はありません。
・色味
・フォント
・写真の印象
・余白の細かさ
・ボタンのデザイン
・装飾の雰囲気
・完成時のおしゃれさ
・仮の枠に対する文章量の収まり
これらは、次のデザイン工程で整えていく領域です。ワイヤーフレーム段階では、見た目の完成度よりも、内容が正しいか、情報が足りているか、順番が適切かを確認することが重要です。
なぜデザインの前に確認するのか
「最初からデザインを見た方が分かりやすいのでは?」と思われることもあります。たしかに、完成に近いデザインの方がイメージはつかみやすいです。
しかし、デザインまで作り込んだ後で「この情報を追加したい」「順番を大きく変えたい」「ページ構成を見直したい」となると、修正範囲が大きくなります。レイアウト、写真、余白、装飾、場合によってはページ全体の構成まで見直す必要が出てきます。
家づくりでいえば、内装まで仕上がった後に「やっぱりリビングの位置を変えたい」と言うようなものです。できなくはありませんが、手戻りは大きくなります。
だからこそ、デザインに入る前にワイヤーフレームで情報を確認し、サイトの中身と流れを先に整えることが大切です。この工程を丁寧に行うことで、デザイン工程では「どう魅せるか」に集中できます。
まとめ

ワイヤーフレームは、Webサイトの完成デザインではなく、情報設計を確認するための設計図です。この段階では、見た目の完成度よりも、何を伝えるか、どの順番で伝えるか、必要な情報が入っているかを確認することが大切です。
特に、原稿が入ったワイヤーフレームを見る場合は、仮の枠や文章量にとらわれすぎないことが重要です。「もっと説明した方がよい」「この情報も必要だ」「この順番の方が伝わりやすい」と感じる部分があれば、その意図を制作会社や担当者と共有することで、より良い情報設計につながります。
情報設計をしっかり整えることで、デザイン工程ではより伝わりやすく、見やすく、魅力的なWebサイトへ仕上げることができます。
OKデザインでは、ワイヤーフレームの工程を大切にしています。見た目の美しさだけではなく、見る人に正しく伝わり、成果につながるWebサイトをつくるためです。
ワイヤーフレームは、良いWebサイトづくりを支える土台です。この工程の役割を理解しておくことで、Web制作全体の流れもぐっと見通しやすくなります。

