中小企業にとって、コーポレートサイトは「会社の顔」。いや、もっと言えば24時間働き続ける無休のスーパーべっぴん受付嬢です。コーヒーブレイクも取らず、新規顧客や採用候補者を迎え入れ、その第一印象で未来の成果を左右してしまいます。
中でも頼れるのが、「実績・事例ページ」と「お客様の声ページ」。彼らはまるで“文句を言わない不屈の営業マンです。放っておいてもせっせと信頼を積み上げてくれる、いわば“縁の下の力持ちコンテンツ”なのです。
この記事では、この頼れる裏方たちをどう育てれば、信頼獲得の最強カードになるのかを、事例や体験談を交えながらご紹介します。
なぜ実績・事例ページが重要なのか?
信頼感を与える「証拠」になる
実績とは、「私たちはこれができます」という言葉に添える“領収書”のようなもの。特にITサービスやコンサルティングのように形のない商品や請負型の製造業や建設業など自社の商品を持っていない業界では、成果を目に見える形で示すことが欠かせません。
これらは、見込み客にとって「同じことをお願いできそうだ」という安心材料。まさに信頼を積み上げる証拠品です。
営業・採用どちらにも効果
営業の場では「この事例と同じようにお願いしたい」というオーダーを呼び込みます。採用活動においても「具体的にどんな仕事をしている会社なのか」が見えることで、応募者の不安を和らげます。
つまり、実績ページは「集客」「営業」「採用」をつなぐキラーコンテンツ。営業資料や名刺以上に、強力な味方になってくれます。
実績ページの作り方とポイント
背景と課題を記載する
成果の羅列は味気ないメニュー表のようなもの。美味しそうに見えるのは、調理のストーリーが添えられているからです。
実績紹介でも同じで、以下を押さえると厚みが増します。
- 依頼の背景(どんな課題があったか)
- 取り組み内容(どのように解決したか)
- 成果(数値や顧客の満足度)
例:
「商業施設の建設にあたり、短納期での施工が求められた。10名体制で取り組み、予定より2週間早く完成。来館者数は前年の1.5倍に増加。」
このように書けば、読者は「自分の課題も解決してくれるかも」と想像しやすくなります。
写真や図表とセットで見せる
「百聞は一見にしかず」。施工現場の写真や完成品のスクリーンショットを載せることで、説得力は一気に跳ね上がります。
文字だけでは伝わらない「質感」や「変化」を直感的に伝えられるので、読者の理解度も満足度も上がります。
件数・規模を示す
「累計100件以上」「取引先200社以上」など、数字は信頼感を後押しする魔法のスパイスです。競合との差別化にも直結します。
お客様の声ページの活用法
インタビュー形式で掲載
お客様の声は、いわば「第三者の推薦状」。企業が自分で言うより、顧客の言葉の方が何倍も響きます。
理想はインタビュー形式。以下の流れでまとめると、読みやすく共感を得られます。
- 導入の背景
- 印象的だったエピソード
- 導入後の変化(効果・成果)
顔出し・写真付きが理想
テキストだけの「匿名の声」では、どこか影のある証言に見えてしまいます。顔写真や現場の様子を添えることで一気にリアリティが増し、「この会社は本当に信頼できる」と感じてもらえます。
動画で表現する
近年は、動画でお客様の声を掲載する企業も増えています。動画は文章以上に「熱量」や「距離感」が伝わりやすく、初対面の壁を下げる効果があります。
まるで商談前に“お隣の席で世間話をしていたかのような距離感”を生むのです。
実績・お客様の声ページがもたらす効果
カタログのようにオーダーが増える
「御社の事例に出ていたものと同じことをお願いしたい」
こうした声は珍しくありません。つまり、事例ページは**“営業カタログ”としても機能する**のです。
SEO効果も期待できる
事例紹介に「業種名+地域+サービス名」を盛り込むことで検索流入が増えます。
例:「大阪の製造業向け|加工機導入事例」
このように検索されやすいキーワードを自然に含めることで、集客効果が期待できます。
長期的な資産になる
最新事例が定期的に追加されるページは「会社が今も元気に活動している」証明。逆に、最終更新が5年前のままでは、「あの店、まだやってる?」と不安になる居酒屋みたいな印象を与えてしまいます。
四半期に1回程度の更新を目安にすれば、常にフレッシュな状態を保てます。
チェックリスト:実績・事例ページ制作のポイント
- 依頼の背景・課題を明記する
- 解決プロセスと成果をストーリーで伝える
- 写真・動画を積極的に活用する
- 数字や件数で信頼性を補強する
- お客様の声はインタビュー形式が望ましい
- SEOキーワードを自然に盛り込む
- 四半期に1回以上の更新を意識する
まとめ
コーポレートサイトにおける「実績・事例ページ」と「お客様の声ページ」は、中小企業が信頼を勝ち取るための最強の武器です。
- 新規顧客に安心感を与える
- 営業現場で説得力を高める
- 採用活動でも会社の魅力を伝える
この3つを同時に叶えるコンテンツは、そう多くありません。
「百聞は一見にしかず」。過去の実績を丁寧に整理・公開するだけで、新しいビジネスの扉は開きます。まるで「一晩中働くけど、給料はいらない営業マン」を雇ったようなものです。
この記事を書いた人
室谷拓実(むろや・たくみ)
株式会社ええやん副社長。元WEB広告代理店マンで、現在は自社のCOO業務を担当。これまでに累計80社以上のWEB制作やマーケティング・SEO・ブランディングを支援してきました。「寄り道バンザイ」をモットーに、成果と遊び心を両立させる働き方を大切にしています。




